2022.11.28
お役立ち記事【PAP以外のOAS治療3:上気道手術】
重要:閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)成人の多くは,装置による治療が不十分かつ放置されている.
目的:従来の装置治療が失敗したOSA患者では,口蓋垂と舌の複合手術による上気道の拡大または確保が有効な治療法であるかどうかを明らかにする.
研究デザインと設定および参加者:上気道手術と継続的な内科治療を比較した多施設共同,並行群,非盲検無作為化臨床試験.2014/11~2017/10まで,従来の治療が無効な中等度~重度OSA成人が登録され,2018/8まで追記された.
介入:多層手術(改良型口蓋垂軟口蓋咽頭形成術と低侵襲舌容量減少術:n=51)または,継続的な内科管理(例:睡眠時の体位に関する助言,体重減少:n=51).
主要成果と測定:主要成果と測定は,無呼吸低呼吸指数(AHI:無呼吸と低呼吸イベント数/時間,15~30は中等度,>30は重度OSA)とエプワース眠気尺度(ESS:範囲,0~24,>10は病的眠気を示す)であった.6か月後の基準調整後の群間差が評価された.臨床的に重要な最小差は,AHIで15イベント/時,ESSの2単位である.
結果:無作為化された102人(平均[SD]年齢:44.6[12.8]歳,女性18人[18%])のうち,91人(89%)が試験を完了した.
平均AHIは,手術群で基準時47.9,6か月時20.8,内科学的管理群の基準:45.3,6か月時34.5であった(6か月時の平均時瀬整後群間差,-17.6イベント/時[95%CI,-26.8から-8.4];P<0.001).ESSの平均値は,手術群で基準時12.4,6か月時5.3,医学的管理群で基準時11.1,6か月時10.5だった(6か月時の基準時調整済み平均群間差,-6.7[95% CI,-8.2から-5.2];P<0.001).手術群では2人(4%)に重篤な有害事象が発生した(1人は術後5日目に心筋梗塞,1人は古い血液の吐血により入院して観察中).
結論と意義:従来の治療が無効であった中等度~重度OSA成人を対象としたこの予備的研究では,口蓋垂と舌の複合手術は,内科的治療と比較して,6か月後の無呼吸と低呼吸イベント数および患者報告による眠気の減少を示した.
これらの知見を他の集団で確認し,OSA患者の治療での多層式上気道手術の臨床的有用性,長期的有効性,安全性を理解するために,さらなる研究が必要である.オーストラリア・ニュージーランド臨床試験:ACTRN12614000338662
対応責任著者:Stuart MacKay,MD, Illawarra ENT Head and Neck Clinic, Suites 1&2, 8-10 Victoria St,Wollongong, NSW 2500,
Australia (sgmackay@ozemail.com.au).
JAMA. 2020;324(12):1168-1179. doi:10.1001/jama.2020.14265
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