特発性中枢性睡眠時無呼吸症に対する経静脈横隔神経刺激療法

【PAP以外のOAS治療4:経静脈横隔膜神経刺激術】

 

Shahrokh Javaheri, MD1; Scott McKane, MS2

1Division of Pulmonary and Sleep Medicine, Bethesda North Hospital, Cincinnati, Ohio;
2Respicardia, Inc., Minnetonka, Minnesota

 

研究目的:特発性中枢性睡眠時無呼吸症(ICSA)は,中枢性睡眠時無呼吸症の既知の原因を除外した後に診断される稀な疾患である.ICSAには確立された治療法はなく,長期研究も不足している.ICSA患者での経静脈的横隔神経刺激の長期的な有効性と安全性が評価された.

方法:remedē Systemの重要な主試験に関して,中枢性睡眠時無呼吸症候の被験者16/151人(11%)がICSAに診断された.患者は移植術を受け,積極的療法を通して18か月間追跡された.基準時,6か月,12か月,18か月時点で得られた睡眠ポリグラフが中央検査室によって判定された.睡眠指標と患者報告によるQoLの成果項目が評価された.

結果:患者に中等度~重度枢性睡眠時無呼吸症が発症した.
基準時AHI,中枢性無呼吸指数,覚醒反応指数は,それぞれ40,25,32イベント/睡眠であった.
これらの指標は,治療開始後6,12,18か月で改善し,AHI は25,25,23件/時(各訪問時,P<0.001),中枢性無呼吸指数は22,23,22件/時(各訪問時,P<0.001),覚醒指数は12(P=0.005),11(P=0.035),13件/時(P<0.001)に低下した.QoL(生活の質)指標では,日中の眠気,疲労,一般的・精神的健康,社会的機能での臨床的に意義のある改善が見られた.重篤な有害事象は患者1でのリード線不良1例のみであった.

結論:本試験はICSAの治療に関する最も長い前向き試験である.経静脈的横隔神経刺激は,6か月目に睡眠呼吸障害指標を有意に減少させ,その結果としてQoLが向上し,すべての効果は18か月まで持続した.

臨床試験登録:登録はClinicalTrials.gov;名称:Respicardia社,remedē Systemの重要な主試験;URL: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01816776;識別子:NCT01816776.

キーワード: 特発性中枢性睡眠時無呼吸,経静脈横隔膜神経刺激,生活の質
引用:Javaheri S, McKane S.特発性中枢性睡眠時無呼吸症に対する経静脈横隔神経刺激療法.

J Clin Sleep Med. 2020;16(12):2099-2107.

 

簡潔な概要
現在の知見・研究根拠:特発性中枢性睡眠時無呼吸症には確立された治療法がなく,長期研究も不足している.
この経静脈横隔神経刺激の研究は,特発性中枢性睡眠時無呼吸症に診断された患者を対象とした唯一の長期治療研究である.

研究の影響:特発性中枢性睡眠時無呼吸症患者での,経静脈横隔神経刺激により,18か月間にわたり睡眠呼吸障害指標とQoLが改善されることが示唆された.経静脈横隔神経刺激は,特発性中枢性睡眠時無呼吸症での長期治療の選択肢になり得る.

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