低呼吸定義の違いによるOSAの有病率や心代謝系転帰への影響

米国睡眠医学会では、睡眠ポリグラフ検査の解析に関する基準が1999年に発表され、2007年と2012年に大きな改訂が行われた。呼吸イベントの改定では、低呼吸イベント判定がその注目する改訂であった。AASM1999では閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群が登場し、上気道の閉塞が完全または部分的とする同一病態イベントとする考えに基づき、さらに呼吸努力性覚醒反応イベントが追加された。そのためか、無呼吸イベントや低呼吸イベントの区別は明記されてなかったが、2つの低呼吸基準が存在した。しかしながら、筆者は無呼吸イベントの位置づけに、完全な呼吸停止として、それ以外の気流低下を低呼吸イベントに位置付けているように感じている。また、呼吸努力イベントが登場した。2007年に無呼吸イベントと低呼吸イベントが明確に区別され、さらに推奨基準と代替基準が登場した。2012年には、代替イベントが削除され、イベント持続時間の90%以上が該当イベントの状態を示す部分も削除され、低呼吸定義が一本化されたが、2014年の第2.1版では代替基準が復活した。

このような低呼吸イベントの判定基準の変化に伴う3つのガイドラインの違いから、一般集団におけるOSAの有病率や心代謝系転帰に関する影響が検討された。
方法:HypnoLaus研究(ローザンヌ、スイス)からのデータが用いられた。参加者2,162人(女性51%、57±19歳)が在宅でのフル睡眠ポリグラフ検査を受けた。上記3つの低呼吸定義(AASM1999、AASM2007、AASM2012)を用いて、AHIが算出された。参加者は、高血圧、糖尿病、メタボリック症候群の臨床評価を受けた。
結果:AASM1999、AASM2007、AASM2012基準からなるAHIの中央値は、それぞれ10.9、4.4、10.1イベント/時であった。



結論:
低呼吸定義はAHIおよび一般人口におけるOSA有病率に大きな影響を与え、それゆえ、公衆衛生政策に重要な意味をもたらしている。AASM2007を用いた場合、糖尿病、高血圧、メタボリック症候群との関連が認められる閾値は、AASM1999やAASM2012の基準と比較して2倍の差があった。

引用論文:Hirotsu C, Haba-Rubio J, Andries D, et al,. Effect of three hypopnea scoring criteria on OSA prevalence and associated comorbidities in the general population. J Clin Sleep Med. 2019;15(2):183–194.

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